先日、第48回大船渡市郷土芸能まつり併催
「黄金けせん!民俗芸能大祭part4」が
大船渡市民文化会館(リアスホール)で開催されました。
500名ほどの観客が見つめるなかスタートを切ったのは、
毎年5月の「碁石海岸観光まつり」でも披露されている
大船渡市無形民俗文化財「西舘七福神(にしたてしちふくじん)」
日舞“さすけ会”会主尾崎勇款(おざきさすけ)さんも登場
大船渡市末崎町にある中森熊野神社で奉納されるもので、鎌倉・北条時頼時代に松島寺(現・瑞厳寺)が天台宗改宗となり臨済宗円福寺と改められ、それに抗議した僧侶たちが祭具・仏像などの宝物を船に乗せて海に逃れ、末崎町の麻腐島に流れ着いたことから祭祀されたのが現在の中森熊野神社の始まりとされます
それ以降その神社で奉納されてきた舞がこの西舘七福神、長い歴史があります
つづいて大船渡市指定無形民俗文化財「永浜鹿踊(ながはまししおどり)」
踊り手の激しい動きにあわせ躍るササラはなんと2.7m
昔はさらに30cm長い3mのササラをつけて躍っていたそうです
十の保持演目から“門讃め”“本庭”“三人狂い”“廻りぎり”が披露されました
過去には日・仏・英・アラブ首長国連邦による石油採掘合弁会社設立50周年記念事業に招かれアブダビで披露されたこともあります
つづいて今回ゲストとして招かれた福島県山河内村郷土芸能、
福島県指定重要無形民俗文化財「高田島獅子舞(たかだしまししまい)」と
福島県指定重要無形民俗文化財「西山三匹獅子舞(にしやまさんびきししまい)」
が披露されました
アジア的な獅子頭は大船渡市と異なり、さらにどちらの演目も7歳くらい~15歳の子どもが演者を勤めるためとっても新鮮でした
小刻みに震える所作など鹿を模したような踊りは独特の愛くるしさで、機会があればぜひまた観たいと思う郷土芸能でした
つづいて大船渡市指定無形民俗文化財「菅生田植踊(すごうたうえおどり)」
ほかの郷土芸能とちがい寺社への奉納などの定期的な機会がないので、
大船渡市民でも見たことがない方が多いと思います
花笠が独特な形をしていて見た印象が『JOJOのスタンド』、ぜひ荒木飛呂彦さんに描いて欲しい
今回は早乙女11人の構成で袖振り腰振りステージがとても華やかでした
つづいて宮城県秋保町からのゲスト
ユネスコ無形文化遺産「長袋の田植え踊(ながぶくろのたうえおどり)」
大船渡の菅生田植踊が屋外で踊られるものであるのに対し、
屋内で踊られそれを観客が外から観るスタイルの田植踊だそうです
花笠が地域によってまったく異なりますね
つづいて各地区各郷土芸能に参加した子どもたちの交流コーナーを挟んだあと
友情出演「民謡大船渡徳声会」の歌声披露
『ヨ~イドコラサ』の掛け声でおなじみの「気仙大漁お祝い唄」も披露され
締めには会場にお祝い餅が撒かれにぎわいました
つづいて大船渡市指定無形民俗文化財「白浜剣舞(しらはまけんばい)」
まず囃子(太鼓)がホッカムリをかぶらないことに驚きです
日頃市町板用から習ったものとされる「白浜剣舞」、大船渡町地ノ森から習った「白浜権現舞」ともに元祖とはまったく異なるオリジナリティがあるものとなっています
つづいてお隣陸前高田市広田町からのゲスト「赤磯太鼓-ARATA-」
リズムを一定に鳴らし続けるのが難しい「摺り鉦」を鳴らす場面もありました
一歩間違うとリズムが崩れ不協和音になってしまうのでむずかしい
本格的な和太鼓パフォーマンス集団が気仙にあるなんて
もっと活躍の場が広がるといいですね
つづいて大船渡市指定無形民俗文化財「野形剣舞(のがたけんばい)」
出場したのは野形剣舞を愛する若者と中学生たちのグループ
魅力はなんといっても動作の「トメ」「ハネ」「ハライ」がしっかりしていること
しかもその動作が踊り手全員完璧に揃い、もはやプロのパフォーマンス集団
大船渡の地元民だからこそ地域の郷土芸能がここまでのクオリティになるのかと
驚きです
こちらも基は日頃市から婿入りした人が地域に普及したことから始まった郷土芸能
昭和30年代後半に当時の綾里中学校の校長先生が取り組んで以降、現在も運動会で披露されているもので生徒たち・父兄のみなさん・先生方を含め地域一丸となって継承されている綾里中伝統芸能です
つづいて大船渡市指定無形民俗文化財
「板用肩怒り剣舞(いたようかたいかりけんばい)」
平成30年内に岩手県指定無形民俗文化財となる予定のもの
踊りの三段構成のうちの最後“引端”では平家の亡霊役の踊り手が
刀をすばやく回しながらビシッと脇に収めるたび観客から拍手が起こります
昔々の大富豪・稲子沢家が江刺から念仏剣舞を取り入れ、
さらに京都の祭り風俗などを混ぜつつ完成したものが現在の板用肩怒剣舞
県指定無形民俗文化財を機にまた長安寺廻向参りが毎年継続して
行われるようになるとうれしいですね
つづいて今回の民俗芸能大祭のトリとなりますのは
大船渡市無形民俗文化財「甫嶺獅子舞(ほれいししまい)」
「早い権現」といわれる権現舞です
太鼓が大小2個あるのは大船渡町地区から見るとおどろき
大太鼓の上に小太鼓を乗せ、榊と御幣を立て天照皇大神を象っています
甫嶺出身者が南極観測船ふじの乗組員だったとき権現様を持って乗船し、
昭和基地で越冬隊に舞を見せ、寄港地でも披露して大好評だったそうです
締めはもちろん権現様の頭噛みで終わりました
大船渡市内には今回出演した団体のほかにも30ほどの郷土芸能団体があります
次回はどの郷土芸能が披露されるのか、乞うご期待
来年の「黄金けせん!民俗芸能大祭」もおたのしみに!!
来年まで待てない!!というかたは「三陸鉄道初日の出号」をご利用ください
今回披露された「甫嶺獅子舞」を楽しむことができます